再犯率の軽減をもたらす選択理論

大学のサバティカルをいただいて米国のカルフォルニア州ロス近辺に滞在しました。ロスの交通マップにも掲載されているロヨラマリマウント大学 (Loyola Marymount University-LMU)の近くにアパートを見つけて、大学の関係者と関わりながら3カ月ほど滞在しました。ロス郊外にCIW(California Institution for Women)という歴史の古い女性対象の刑務所があり、選択理論を学んだ大学生が3年前からそこで受刑者に選択理論を教えることで、選択理論が刑務所内に広まっていきました。CIWは1952に設立されています。収容人数は2250人と聞きました。加州には33の刑務所があり、女性対象は3つです。19万人が刑務所にいて、出所して7カ月で再入所すると聞いています。今は刑務所内の教育担当部が独自の教育プログラムのなかに選択理論の講座を組み込んでいて、希望者が受講できるようになっています。私たちが刑務所を訪れたときには、参加できる人は集まってくださいと、知らされていたので、20名以上の人が集まってきて、選択理論を知って自分がどのように変わったかを話してくれました。ライファー(Lifer)と呼ばれる人たちは終身刑です。中にはもう21年いる、29年いる、という人たちがいました。選択理論を知った人たちは、怒りをコントロールする術を身につけたようで、問題行動がなくなっています。自分の行動は自分の選択だということを自覚している人は、人のせいにしないで有意義な人生を送っています。刑務所のなかを歩いていて、以前受講したライファーの人に会いました。何とそのひとりは刑務所のなかにいながら大学院で学び博士号を取得しています。この選択理論の刑務所での普及にLMUが大きな貢献をしています。LMUではグラッサー財団を創立する試みがあり、その前段階として寄付金をこのCIWのプロジェクトに使って、刑務所内で選択理論関連書籍が読めるようになっています。全米にロヨラ系の大学が20くらいあるようです。かの有名なジョージタウン大学もそのひとつです。こうしたニュースは関連大学が共有しているようです。今回CIWで選択理論を教えるというプログラムを通して学んだことは、もっと選択理論に自信を持っていいということです。再犯率60%は普通のようですが、このCIWで選択理論を学んだ人たちはここ3年間で再犯率ゼロ%の記録を打ち立てています。選択理論を刑務所内で学びたいという意思表示をして順番を待っている人が、私たちが訪問した日に167人いると報告されました。日ごとに数が増えていると聞きました。現在学んでいる人が84人。この人たちは夜の自由時間に自分の意思で学びたいと申し出た人たちです。LMUでは規則違反を犯した学生を罰することをせずに、選択理論を学ぶ機会を与えていたのも驚きでした。
柿谷正期(日本選択理論心理学会会長)

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