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心と体の健康
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「心と体の健康」 -子育てについて-(2000年5月12日)---第31号
このメールマガジンは、不定期に発行されます。
MMさんから次のようなメールを頂きました。
「いつも配信をたのしみにしています。本日(第29号)の記述に、息子さんを叱った事がない、 とありましたが、お子様はすこやかに育っていらっしゃいますか。というのも、人はいやな経 験もして反省や批判を含めた上で社会での適応力を身につけるのでは、と思うからです。、、 (中略)、、、、 人間社会においては理に適わない事、傷つく事は日常たくさんあります。一番信頼できる 人(親)が絶対に自分に悪い事をしない(害を与えない)存在であったら、外でそのような事 に遭遇した時に家庭に逃避し、外の生活を拒否するという行動を誘発しませんか。、、、 (中略)、、、、、 最近の子育ては「誉めて育てろ」と盛んに言われ、叱られる経験の少ない、無い子が増えて います。不登校児増加との因果関係があるように感じてならないのですが。、、、、、 」(MM)
同じような疑問をお持ちの方がいらっしゃると思いますので、私の意見を述べさせてください。
いじめに遭遇するのだから、その準備のために、家で少しいじめておこう。そんなことを思う 人はいませんよね。人間には満たさなければならない基本的欲求が5つあります。一つは身 体的なもので、「生存の欲求」、他は心理的欲求で「愛と所属」「力」「自由」「楽しみ」です。人 間が幸福と思うときは、これらの基本的欲求がバランス良く満たされています。親にはこれら の欲求充足のお手伝いをすることが求められています。満たされていれば、子どもは問題に も対処しやすくなります。1997年の米国の医学誌に子どもを4つの害から守るために、何が 大きな要素となるか、長期間にわたる研究成果が発表されました。親か教師との人間関係 の確立(コネクテッド)がもっとも重要であることが判明しました。親か教師との断絶(ディスコネ クテッド)があると、若者は、暴力、麻薬、愛のないセックス、精神病の害をもろに受けてしまう ということです。家庭は将来の問題のために、予行練習をする場などと考えないで、十分に愛 を注ぎ、価値があることを伝達することが大切だと思います。不登校はまた別次元の問題だと 思います。
叱ることの必要性が口にされていますが、叱る必要がないのに叱ることは問題を引き起こす ことになります。叱るよりもよい方法があるのに、叱る方法を採用することもないと思います。 叱られて喜ぶ人はいません。叱られて殺傷事件を起こしている子どももいます。「他人の子ど もを叱る社会」という表現は、「他人の子どもにも係わる社会」と表現するほうがベターだと思 います。「ほめる」ことはけなすよりもよいかもしれませんが、厳密に言えば「ほめる」ことも問 題かもしれません。「励ます」「勇気づける」という言葉の方がよいかもしれません。ほめられる ことばかりを考える子どもになるのも問題ですよね。また、ほめて育てろと言われると、相手を 操作(コントロール)するようなほめ方になってしまうことがあります。勉強をさせるために、勉強 をほめるとか、手伝いをさせるために手伝いをほめるとか、ほめることが純粋でなくなってしま うことがあります。人に操作(コントロール)されたいと思う人はいません。人にコントロールされ ていると、力の欲求が満たされないからです。
親は子どもとコネクテッドの状態でいること、そして基本的欲求を満たす存在となることです。 このようにしていれば、子どもは外で問題に遭遇しても対処する力を身につけるようになります。
1978年に柿谷カウンセリング・センターを開設。1984年3月にはグループホーム大磯ハウスを設立。リアリティセラピーに関しては米国ウイリアム・グラッサー協会が認定した日本人初のインストラクターであり、日本初の「リアリティ・セラピー」認定講座を主催するなど先駆的な働きをし、現在も第一人者として活躍中である。
上記のリンク先での質問に答えることにより、 生まれつき備わっている「5つの基本的欲求」の強さ・弱さを調べることができます。 自分や他人の基本的欲求の強弱を知ることにより、様々な人間関係に役立てることができます。 無料でご利用できます。なお、当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。