柿谷カウンセリングセンターはリアリティセラピー(現実療法)を主とし全人的アプローチを目指していす

批判について(その10)

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心と体の健康

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「心と体の健康」 -批判について(その10)-(2000年5月7日)---第30号

このメールマガジンは、不定期に発行されます。

Yさんから次のようなメールを頂きました。

「初めまして。いつも興味深く購読させていただいております。 質問です。(意地悪な…かもしれません) 「批判は良くない」と言うこと自体が、 批判肯定派の方に対する批判だと思うのですが。 如何でしょうか?

確かにそうかもしれません。しかし、違う意見を述べることは「批判」ではありません。 批判はしないほうがいいというのは私の意見です。意見はかみ合わないかもしれませ ん。意見を言う場合、批判的に意見を述べることも、批判をしないで意見を述べること もできます。でも、批判肯定派という人がいるとしても、その人と私とそう意見が違わな いのではないかと思っています。つまり、破壊的なことを好んでしようとはされないと思 います。「批判」の定義が違っているかもしれません。

「批判」を辞書で見ると「判断」に結びつけて解説してあります。「判断」は自分の頭の 中でしていることで、これはだれでもしていることです。この「判断」を「評価」という言葉 に置き換えることもできます。 品質管理の父、エドワーズ・デミング博士は、「人は他人を評価してはならない」と言 いました。精神科医のグラッサー博士は「人を公に評価してはならない」と「公に」とい う言葉を付け加えました。頭の中でひそかに行う評価を問題にしているのではありませ ん。子どもの勉強の仕方を見て、希望の高校に入れそうにないと親は判断します。この 判断は親の判断で、子どもの判断とは違う可能性もあります。ここで親は意見を述べる ことも、黙っていることも可能です。どんな意見が可能でしょうか。

① おまえバカか。勉強しないで高校に入れると思っているのか。
② いつまでテレビ見ているのよ。勉強しなきゃーいけないのに。
③ もういいかげんにして、勉強しなさい。

以上のような表現は批判的に受け取られる可能性が強いと思います。批判肯定派の人 も、こんな表現を奨励しているわけではないと思います。一方、人間関係を大切にした意 見の述べ方も可能です。

④ 高校受験って大変だね。お父さんが力になれることがあったら言いなよ。
⑤ ○○高校に入りたいと言っていたよね。お父さんは少し心配しているんだが、今の勉
強の仕方で希望の高校に入れると思う? お父さんが力になれることがあったら何でも言い なよ。

特に個人的な関係では批判しない方が良い思います。個人的でない問題では、批判は それほど問題にならないかもしれませんが、それでも批判しない意見の述べ方をする方 が賢明です。一貫して批判をしないやり方を身につけていないと、人間つい人を批判する ようになってしまうでしょう。批判肯定派の人に対して「批判はしない方がいい」と言うこと は、意見を述べたまでで、批判ではありません。仮にこれも批判ととられるとしたら、パー ソナル(個人的)な問題ではなく、原理原則という問題に対してなので害が少ないと言える でしょう。批判肯定派の方に対して質問です。「あなたは批判されて、成長したという経験 をされたことがありますか? 特に家族関係でそのような経験がありますか?」

論文「ネガティブ・クリティシズム」http://www05.u-page.so-net.ne.jp/ka2/kakitani/ を参照してください。

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