飯塚浩・精神科医師は2022年4月に『小さな町の精神科の名医が教える メンタルを強くする食習慣』(アチーブメント出版)をまとめられた。精神科医師の立場の人がその著書でGFCFダイエットに触れられているのも珍しいことで、私が院生と一緒にまとめ『自閉症を含む軽度発達障害の子を持つ親のために』として出したのは2007年。低血糖症について書いたのが1982年。40年経過してもまだ情報は常識となっていない。そのような状況で、飯塚医師は最終章で「魔法の次世代万能薬!?CBDオイル」として紹介されている。CBDはカンナビノイドのことで、カンナビジオールとも呼ばれる。これから大いに注目されるものとなるであろう。
体の中にはECS(エンド・カンナビノイド・システム)という身体調整機能がある。このシステムに狂いが生じると、感情抑制ができなくなったり、思わぬところでコケたり、不眠症になったりする。ECSのEはEndogenousのことで内因性という意味である。私たちの体にはカンナビノイドが存在している。人間だけではない、脊椎動物は魚も含めこのシステムを持っている。そのシステムに起きている狂いを外部からCBDを取り込むことで調整する試みなのだ。うつ病と統合失調症は精神疾患とされており、共通点は、不眠症と言われる。CBDで不眠症が改善すれば、精神疾患にも有効であることが想像できる。リュウマチのような自己免疫疾患、免疫力が減少してかかるガンなどにも有効であろう。飯塚医師が「魔法万能薬」と呼ぶ理由がここにある。
CBDは大麻から抽出される。二つの成分に分けられ、THC(テトラヒドロカンナビノール)は違法薬物として日本では使用できない。そこでTHCを除去した残り全部を利用するブロードスペクトラムCBDを飯塚医師は好んで使用されている。症例として掲載されているものには、アスペルガー障害、感情失調、不眠、自閉症スペクトラム、過食、アルコール乱用、DV、うつ病、難治性てんかん、アルツハイマー型認知症、などが挙げられている。症例はまだ少ないが、ECSシステムに働きかけるものであるので、どのような不調にも対応するのではないか。そういう意味で「万能」と呼ばれるのであろう。
2018年にはCBDはドーピングの対象から外され、2020年国連は。CBDを食品であり医薬品ではないと表明。CBDを使いやすい環境は整ってきている。
柿谷正期(日本選択理論心理学会会長)
(ニュースレター#92)