大杖規子(おおつえのりこ)さんが亡くなられた。2021年1月3日のことだった。まだ56歳。早逝と言うしかなく、燃え尽きて逝かれた。最初の入院は4月で、このとき胃がんのステージ4であったと聞く。治療のために定期的に入院されていたようである。2020年12月11日に退院されて翌日12日〜13日は基礎プラクティカムをオンラインで担当されている。そして年末に緊急搬送され、数日で亡くなられた。このような状況でありながら自分の容体を人に語ることはなかった。私も12月5日にはご本人とズームを使った打ち合わせをしていたので、まさかその月の末に緊急搬送は予想する術もなかった。お痩せになってはいたがやつれたという印象はなかった。お綺麗だった。
大杖規子さんは常任理事で研修委員長であった。昨年8月に予定されていた年次大会が延期されたので、研修委員会として9月6日には大会で予定されていたオンライン研修を企画実施され、今年の2月23日には大阪で、4月17日には平塚で研修の段取りがなされていた。いずれもオンラインとなるであろう。
大杖規子氏は、ご自身がプラクティカム・スーパーヴァイザーになられたので(2017年)、担当された数は多く、関わられた受講生の数は31人と多い。今回この原稿を書くにあたって、ご長女の瑞希(みずき)さんに時間をとっていただいた。母親が講座の受講(2012年基礎、2014年上級)後にどのように変わったかなど、興味が尽きなかった。誰にでも言えることであるが、講座で選択理論を学習すると致命的習慣を使うことはなくなる。娘から見る母親は、愛と貢献の人であり、支援的であった。そして「選択理論を伝えるのが生きがい」と口にされていたと聞く。瑞希さんはこの母親の志を自分が継いで選択理論を広めたいと言われている。
大杖規子氏はいたって健康で、病とは縁遠いとも思われていた。あるとき彼女の指に触れたときとても体温が高いことに気づき、それを口にすると基礎体温が高いと自認された。まず癌にはならないだろうと思っていたが、まさにその癌にかかられた。それもスキルス!お元気だったので、健康診断を受けることはなかったようである。ピロリ菌の検査もされていなかったらしい。癌との関係が判明してきているので、検査をすることを瑞希さんにもお勧めしておいた。ピロリ菌を発見した人はノーベル賞を受賞している。私も随分前であるが除菌をした。そうしなかったら私も今はいなかっただろう。柿谷正期(日本選択理論心理学会会長)
JACTP Newsletter #88