グラッサーの書籍にクォリティの条件がリストされています。どの書籍でしょう?答えは年次大会で明かすことにしますが、クォリティの条件としてグラッサーは6つ挙げています。分割できる要素があるので、2つ分割してワークブックでは8つにしています。グラッサーは「条件」としていますが、ワークブックでは「条件と特徴」としています。現時点のクォリティはいつでも改善できるという特徴があると考えたからです。
温かい人間関係を構築するためには「強制」があっては難しいので、グラッサーも強制のない関係を上質の条件として条件1に含めています。条件の一つとして「自己評価」が挙げられていますが、「改善」できる要素を示唆します。こうして6つが8つになりました。クォリティの条件と特徴は、1) 温かい人間関係から生まれる、2) 強制からは生まれない、3) 自己評価から生まれる、4) 有益、5) 最善、6) 改善できる、7) 気分が良い、8) 破壊的でない、の8つです。
デミングは、「クォリティは定義できないが、見ればわかる」と言いました。しかしグラッサーは基本的欲求と結びつけて考察します。赤ちゃんが布のおむつをしていると、排泄をした時の濡れたおむつの感覚は不快と感じるでしょう。そしてすぐに母親や父親が乾いたおむつと交換してくれた時のすっきり感は嬉しいものです。布のおむつの良さはここにあります。紙おむつでは感じられないものでしょう。自分の快適感に貢献してくれる親は上質世界にバッチリ貼られます。気分の良さを感じることがベースとなり、赤ちゃんは他の欲求を満たすようになります。赤ちゃんはクォリティが何かを早い段階で体験しているのです。おっぱいを飲ませてもらった時の満足感も同じです。飲ませてくれた母親への思いは当然強くなります。
クォリティにつながる言葉はいくつもあります。生活の質、上質、質が高い、ハイレベル、品質が良い、関係の質、ハッとする絵画、興味深い写真、調和のとれた風景や庭園、などです。そして関係者全員の意識がクォリティに向けられるときに「クォリティスクール」が誕生するのでしょう。日々の生活でもっともっとクォリティについて考え、クォリティに注目するようにしたいものです。子育てをしている親は、もっとクォリティに触れる機会を子どもに与えたいものです。
柿谷正期(日本選択理論心理学会会長)
JACTPニュースレタ−83号より