何か変だという直感の大切さ(日本選択理論心理学会ニュースレター39号より

モンティ・ロバーツは子どもの頃から、父親やその他の大人がしている暴力的な調教の仕方を見て、何か変だと思った。どうして馬をここまでこわがらせ、傷つけるのだろう。もっと優しいやり方があるはずだ。そしてモンティはジョイン・アップという優しく、効果的な方法で野生の馬に人が乗れるようにした。
ニュートンはリンゴが落ちるのを見て、なぜ落ちるのだろうと考えて、やがて引力の法則にたどり着いた。
教師はどうして、生徒のひとりが問題行動をとったからと言って、連帯罰を課すのだろうか。どうして罰が教育現場でここまで頻繁に必要とされるのだろう。どうして大人は暴力を使ってでも、子どもに何かを押しつけようとするのだろう。
どうして精神疾患に対しては、本人のためと言って、無理やり治療を強要するのだろう。内科的な疾患に対してこのようなことがなされたら大きな人権侵害となるのに、なぜ精神疾患に対してはこのような強制がまかり通るのだろう。
自閉症が発症する前にはことばを話し、ごく普通の子どもであったのに、自閉症は脳に障害があると言われるのは何故だろう。1歳半までは健全に育っていた子どもが、何故ことばを失い、反復行動を繰り返すようになるのだろう。生まれつきの脳の障害であるなら、どうして1歳半頃までは正常な発達を遂げているのだろう。
精神疾患の治療を目的として薬物療法を施す人たちは、どうして繊細な脳に作用する薬物を、本人のためと称して処方するのだろう。そしてこの行為を「慈善」と本気で考えるのは何故だろう。精神病院の入院患者が体験している薬の副作用を目の当たりにしながら、どうしてこの薬が精神疾患の治療になると本気で考えているのだろう。大人を対象群として治験がなされた薬物を、どうして未発達の子どもの脳にも効果があると大胆に信じることができるのだろう。私たちはたくさんの「なぜ」がある世界に生きている。
グラッサ一博士の来日を機に、新著『警告!』が出版された。副題は直訳のまま「あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので、精神科には注意しましょう」となった。度肝を抜くような題である。精神科医グラッサ一博士は、おかしいという直感を当初から持ち続け、その結果が今回の新著となっている。精神病という病気は果たして存在するのだろうか。この疑問を一貫して持ち続けて来た。私たちも「何かおかしい」という直感を失ってはならない。           
柿谷正期(日本選択理論心理学会会長)

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